Episode #017 ハリー・ルビーが書いて後悔した歌 あるときテレビ番組でこう尋ねられたんだ。「ハリー、あなたが書いた歌のなかで書いたのを後悔しているような歌ってありますか?」とね。それで「ああ、一曲だけ書いたのを後悔してるのがあるね。それは[Three Little Words]さ」と僕は答えたんだ。
Episode #016 少なくともワン・ブロックぐらい運転したってことは信じてもらえるかな? アート・テイタム Art Tatum は同時代の目の見えるどんなミュージシャンよりも完成された音楽家だったから、多くの盲目のミュージシャンにとって励みとなった。
Episode #015 トミー・ドースィが止めに入ってくれたが… Episode #015 トミー・ドースィが止めに入ってくれたが… トミー・ドースィは時間厳守の規則をつくっていて、もし遅刻した場合はだれにでも罰金を課した。であるときジョウ・ブシュキンもそれを払う羽目に陥った。 ── […]
Episode #014 きみのバンドに僕も入れてくれないかい Episode #014 きみのバンドに僕も入れてくれないかい トミー・ドースィのお気に入りのドラマーは、スーパー・ソロイストのバディ・リッチだった。リッチはクラブ〝ヒッコリィ・ハウス Hickory house〞でジ […]
Episode #013 僕はジャズについて少しばかり話したいんだ! アート・ブレイキーが市外の仕事で車を走らせているときだったが、ある村にさしかかると、葬式の行列のために進路が完全に渋滞して動けなくなってしまった。この葬儀が終わるまでは墓地の周辺を通り抜けることはできなかったので、彼は車を出て死者に対する追悼の辞に耳を傾けた。
Episode #012 「チャーリィ・パーカーさんの電話番号を…」 チャーリィ・パーカーの死後35年が経過したが、クリント・イーストウッドが監督した映画『Bird バード』の製作にあたってその宣伝期間中のこと、その映画にも登場するトランペッターのレッド・ロドニィ Red Rodney がネブラスカのある新聞社の記者から電話を受けた。
Episode #011 やっとその日がやってきた オスカー・ビーターソンはコンサートのまえに密かにハーブ・エリスのギターの弦を弛めておいて、演奏の直前まで彼を会話に引きずり込むということをよくやった。あるいは逆に弦には触っていないのに弦を弛めたようなふりをして、次の曲をいつもより高いキーで弾いて、ハーブに楽器の弦がくるっていると思わせたりもした。
Episode #010 マイルズ・デイヴィスが《マイアミ・ヴァイス》出演を振り返って 1989年に私(Miles Davis)はもう一つ楽しい経験をしたが、それはテレビの《マイアミ・ヴァイス》にポン引きとヤクの売人として出演したことだ。その役をやったとき、それを演じてどう感じたかと誰かに尋ねられたが、私は「黒人なら年がら年中演技しているのさ」と答えたよ。本当さ。この国じゃ、黒人なら単に生きていくために毎日あれこれ演技してなくちゃならないんだ。
Episode #009 いたずらっ子の首謀者ファン・ティゾル みんなのなかでも一番悪いいたずら屋はファン・ティゾルだった。たまにしか彼に会わない人は信じられなかったろうね。彼はいつも下らないことには無関心そうな超然としたとこがあったけど、じつは僕らいたずらっ子の首謀者だったのさ。
Episode #008 「望ましくない人物が越してくるのは私も御免だから」 ナット・キング・コールがロス・アンジェルス郊外の白人居住地区に住宅を購入したときだったが、そこの住宅所有者の一部が望ましくない人物が近隣に越してくることに反対する運動を起こし、請願書をまわして署名を集め始めた。