トランペッターのキャット・アンダーソンは語る。
──デューク・エリントン楽団に入ったときだけど、あのころメリィ・ルー・ウィリアムズのアレンジで[Blue Skies]をよく演奏していた。トランペットの曲じゃなくて、テナー・サックスとトロンボーンがとって、エンディングはレックス・ステュアート(トランペット)が吹いてたんだ。僕は毎日聴いていたから、もうそのエンディングを憶えてしまっていたよ。で、あるときオハイオ州キャントンの劇場での仕事のときだけど、時間になってもレックスが現れなくてね。デュークがトランペット・セクションに、だれかそこのところをやらないかと言ったんだが、だれも買ってでるものはいなかった。それで彼は「新入りのトランペッターのきみはどうかね?」と僕に言うから、僕は引き受けたさ。そしてソロが終ってエンディングになったから僕は前に出ていって吹いた、1オクターヴ上でね。僕が上のCの音で終わるとお客が大きな拍手をしてくれて、デュークも「いいね、じゃこれからはこれでいこう」と言ってくれたよ。でも運わるく、僕が吹いている最中にレックスが入ってきたんだ。で、それから15年間、レックスは僕に口をきいてくれなかったよ。