【研究】トーチ・ソング トーチ・ソングの torch という単語にはもともと〈松明〉の意味がある。たいていは carry a(the) torch for… というかたちで使われるが、それはアメリカだけの俗語的用法で、政治家の選挙運動などで昔は支持者たちが松明をもって行進したりしたことからできてきた表現ではないかとされている。
【研究】ティン・パン・アレイ Tin Pan Alley ティン・パン・アレイとは元もと1900年代の初めごろニューヨークの楽譜出版業者が集まっていた一画をさしてそう呼んでいたものだ。細かくは 28th street の Fifth から Sixth Avenue にかけての地域で、ここいらへん一帯の俗称である(alleyには横町といった意味がある)。
【研究】セロニアス・モンク セロニアス・モンク Thelonious Sphere Monk (1917–’82)はノース・キャロライナ州ロキー・マウント Rocky Mount に生れている。アメリカは広いから、この州は東部の海に近いところにあり、しかもニューヨークまで700キロぐらい、ワシントンDCまで300キロぐらいだから、何千キロと離れている中西部に較べれば北部に入るとも言えそうだ。しかしここは南部に区分けされ、いわば南部の始まりと言われる。姉マリオンが彼が生れる2年前に、弟トマスが3年後に生れている。
【研究】スピリチュアル 2 黒人霊歌 Negro spiritual という言い方は以前は一般的だったが、Negro は人種をさす言葉で、Nigger といった蔑視語、差別語も生み出しているから、最近はより非人種的、中立的な言葉 black を使って、black spiritual という表現が多くなされる。
【研究】スキャット ルイ・アームストロングは1930年に[I’m Confessin’ That I Love You]を吹きこんだが、この年はほかにも[Exactly Like You]、[I Got Rhythm]、[I’m a Ding Dong Daddy]など多くの曲を吹きこみ、そこでスキャットをさかんにやっている。
【研究】ジョージ・ガーシュウィンとイディッシュ音楽 アメリカの音楽家にはユダヤ人が多いが、ジョージ・ガーシュウィンもその例にもれない。ユダヤ人はかつてその聖地を追われ離散してきた永い歴史をもっているから、以来おもにヨーロッパやロシアを流浪してきていて、その家系はどれも古くからつづいている。
【研究】ジョン・アードインによるメアリィ・ロジャーズへのインタヴュー メアリィ・ロジャーズは自身、作家で作曲家であり、ブロードウェイ作品には、キャロル・バーネット Carol Burnett が主演した’59年のミュージカル【Once Upon a Mattress】がある。彼女が父とロレンズ・ハートについて語る。
【研究】ジョニー・マーサー ジョニー・マーサー Johnny Mercer (’09-76)はジョージア州サヴァンナの南部の旧家に生れている。父ジョージは名の知れた検事で、不動産投資で成功した富裕な人だった。母リリアンの父はクロアチア移民で、商船を動かしていたので南北戦争では海側の守りについた人だった。母リリアンはアイルランド系で、ジョージの秘書だったが二番目の夫人になり、ジョニーはリリアンの最初の子で上には3人の兄弟がいた。
【研究】ジュール・スタイン ジュール・スタイン Jule Styne (’05-’94)は12月31日生れで、ウクライナ(当時はロシア)からイギリスに移住したユダヤ系両親の長男としてロンドンで生れた。もともと名前は Julius で、ジュウリー Jule という女性の名のような発音だったらしいが、のちに同じ名前のMCA (Music Corporation of America)総帥の Julius Stein がいたので、混同を避けて Jule Styne と綴りを変えた。彼が3歳のときに両親とともにスコットランドの歌手ハリー・ローダー Harry Lauder のステイジを見に行ったら、彼が突然ステイジに登って歌い始めたのだ。