【研究】著作権の問題 アーヴィング・バーリンは自分の曲に関して厳しい考え方をしていた。彼は初期の一部の作品以外は作詞、作曲の両方をやっていて、彼はそういう作品は本などでの他のソングライターの曲との混載を禁じていたのである。曲集、楽譜といったものにはたいてい多くの人の曲が載るが、彼は自分の曲は人の曲と一緒にではなく、自分の曲だけでなければ使用許可を与えなかった。
【研究】英語のなかの仏語([My Reverie]について) [My Reverie]のなかの dream と reverie という二つの単語は、はからずも英語のなかでは仏語起源の言葉が優勢的地位にあると述べたこと([研究─[My Ideal]とアメリカ人の性意識]参照)の実例を提供してくれている。
【研究】聖ニコラスの来訪 クレメント・クラーク・ムーア Clement Clarke Moore(1779-1863)は1813年にキャサリン・テイラー Catherine Elizabeth Taylor と結婚し、六人の子をもうけて、当時ニューヨーク市の外に位置するチェルスィに住んでいた。
【研究】現代サンタクロース像の成立 サンタクロースの赤いガウンに白い髭をたくわえた風貌というのは、いつごろできあがったのだろうか? クレメント・クラーク・ムーアの物語詩《聖ニコラスの来訪:それはクリスマスの前夜のこと A Visit from Saint Nicholas: Twas the Night Before Christmas》の最初の出版は1823年のことで、のちに挿し絵画家のトーマス・ナスト Thomas Nast がそれに絵をつけたのが、そもそものサンタ像の始まりらしい。
【研究】歌のなかの様式性と現実性([Guess Who I Saw Today]についての考察) こういう歌が日本人に好かれるかどうかはともかくとして、日本のジャズ歌手はこういう歌がうまく歌えないというのが現状ではないだろうか? 発音が依然として英米人に判るようなものになっていないことが一つだし、歌を歌うときの心構え、その精神が欧米と日本とでは未だに大きく違うということがもう一つである。
【研究】歌のなかのユーモア こういったユーモアは英語の歌の最もいい点かもしれない([Pennies from Heaven]の[補遺]参照)。日本の歌の場合、演歌や歌謡曲だけでなく、フォークやアイドル・ソングなどにもほとんどユーモアはなく、そういう状態は最近になって強まってきているように見える。
【研究】曲づくりに要する時間 ジェリィ・ゴフィンはキャロル・キングと’60年代に多くのヒット曲を書いた。ジョウ・スミス著《Off the Record》における彼の談話はなかなか面白いので、そこから拾い書きしてみよう。
【研究】時間へのこだわり([The Days of Wine and Roses]についての考察) この〝The days of wine and roses 酒と薔薇の日々〞という言葉は、英国の詩人アーネスト・ダウソン Earnest Dowson (1867-1900)の詩の一節からの引用だが、その一節を参考までに記してみよう。
【研究】昭和30年代の日本人とアメリカン・ポップス 映画の主題歌であれなかれ、このころのこういったアメリカのヒット・ソングは日本人の生活にも非常に大きな意味をもっていた。アメリカのヒット・ソングを生活のなかに受容するということは、昭和20年代はまだ一部のマニアだけのことだったが、30年代になると日本の全大衆を巻き込むような現象になっていった。