【研究】[You’re the Top] ’94年に出版されたティム・ドライル Tim De Lisle 編集の《Lives of the Great Songs》という本がある。英国の新聞の日曜特集の記事を一冊の本にまとめたもので、有名なスタンダード曲などを一曲一曲べつべつに記者や評論家が担当して、その生い立ちやヒットのその後まで研究した、とても珍しい興味深い本である。
【研究】[My Ideal]とアメリカ人の性意識 コール・ポーターの[Love for Sale]は一時期アメリカとカナダの放送局から放送禁止措置をとられた。もちろんそれは性的にあまりに露骨な表現が満ちているという理由からだ。しかしちょうど同じころ、フランスではエディット・ピアフ Edit Piaf がパリの売春婦について高らかに歌いあげていた。
【研究】[God Bless America]について アーヴィング・バーリンは1918年の陸軍のショウ【Yip! Yip! Yaphank】に[God Bless America]という曲を書いたが、製作の段階で落としてしまった。それは基金集めのためのショウで、この曲は少し真面目すぎる、固すぎると感じたからだった。
【研究】音楽観の変質 最近は、TVコマーシャルで曲や歌手が有名になる、売れるということが非常に多くなった。レコード店には〝コマーシャル・コーナー〞とかいう売り場が用意されて、そういうレコードが売られているし、またそれでよく売れるようである。
【研究】音楽家の実像 ’60年代は人種闘争が荒れ狂った時代で、マックス・ロウチとアビィ・リンカーンの人種闘争をそのままジャズに持ち込んだようなレコードもあったが、日本のジャズ評論家はそういうものを「ジャズに政治を持ち込んではいかん」とかなんとか言って酷評していたものだった。
【研究】詩と歌詞 ジャズ詩大全シリーズを書きはじめてしばらくしたあるとき、私は一読者から投書をもらった。それはこの本のなかで扱っている作詞家たちのことを、私がところによっては〝詩人〞と書き、また彼らの出した出版物を〝詩集〞と言及したことに立腹しての投書で、純粋に文学的な詩人やその詩集とジャズのスタンダード曲の歌詞やその歌詞集とを一緒くたに同じ名で呼ぶのはけしからんという内容のものだった。
【研究】詩から歌詞への変貌 ジェロウム・カーンが英国滞在中に知り合い、彼の英国で上演したショウの多くの作詞を担当したP・G・ウドハウス P. G. Wodehouse (1881-’75)は英国人で、小説家、詩人でもあり、雑誌に寄稿していたコラムニストでもあった。
【研究】言葉の中立性 日本語には男性言葉、女性言葉、敬語、丁寧語、謙譲語など、性質の異なる言葉がたくさんあるので、本当にぴったりとした訳語を探すのがなかなか難しい。単語自体が中立ではなく価値判断をすでに担っているという点が、とても厄介で扱いにくい。
【研究】著作権([Bei Mir Bist du Schön]についての後日談) さてこの曲[Bei Mir Bist du Schön]にはまだ著作権についての後日談がある。カーンは楽譜の出版元のカーメン社(J & J Kamen)に行き、その社主で双子のカーメン兄弟と交渉した。