改訂版」カテゴリーアーカイブ

[Fly Me to the Moon]Fly Me to the Moon

キャバレー・ピアニストで、当時、歌手のメイベル・マーサー Mabel Mercer の伴奏を務めていたバート・ハワードが、’54年に彼女用に書いたという3拍子の曲で、そのときは[In Other Words]という曲名だった。このマーサー用という記述もあれば、一方でハワードが’51年からピアノ伴奏と司会を担当していたマンハタンのクラブ Blue Angel で、フェリスィア・サンダース Felicia Sanders がこの曲を歌ったので、サンダース用として書いたのかもしれない。

[Ev’ry Time We Say Goodbye]Ev’ry Time We Say Goodbye

これはコウル・ポーターの作品で、ビリー・ロウズ Billy Rose の’44年のレヴュー【Seven Lively Arts】に挿入され、そこではナン・ウィン Nan Wynn が歌った。これは〝七つの活気のある芸術〞というそのままの意味で、音楽、演劇、オペラ、バレー、ラジオ、絵画、コンサートをさし、配役陣にはベアトリス・リリー Beatrice Lillie、バート・ラー Bert Lahr、ドロウレス・グレイ Dolores Gray らが入り、ベニー・グドマン Benny Goodman、テディ・ウィルソン Teddy Wilson らが伴奏メンバーに入っていて、 イゴール・ストラヴィンスキー Igor Stravinsky がバレー音楽を書き、 踊り手のなかには著名なアリスィア・マルコウヴァ Alicia Markova も入っていた。

[East of the Sun]East of the Sun

この曲はブルックス・バウマンが’34年のプリンストン大学の Triangle Club のショウ【Stags at Bay】に書いた3曲のうちの1曲だ。ノルウェイの民話に、王子様とその母君が「太陽の東と月の西に住む」と歌われ、彼はそこからヒントを得てこの題名をとった。スコットランドの詩人アンドルー・ラング Andrew Lang の編纂した童話集で1889に出版されたという。

[Don’t Get Around Much Anymore]Don’t Get Around Much Anymore

もとは[Never No Lament]というデューク・エリントンのインストゥルメンタルで、ジョニー・ホッジスのアルトをフィーチャした曲だったが、あとからボブ・ラッセルの歌詞がつけられ題名も変えられた。インストゥルメンタルに歌詞をつけてヒットさせるという例は多いが、エリントンの曲としては[Satin Doll]や[Take the A Train]と較べれば、あまり知られていない部類に入るかもしれない。

[Don’t Explain]Don’t Explain

言わずと知れたビリー・ホリデイの曲で、亭主がカラーに口紅をつけて帰ってきてなにか下らない言い訳をするので、思わず口をついて出たビリーの言葉から作られた歌である。その話しの真偽の程は定かではないという説もあったが、歌詞の意味は全体に誤解の余地のない曲で、ホリデイらしい雰囲気が漂っている。作ったのは’39年らしく、この時彼女は Decca に録音したという説もある。

[Desafinado]Desafinado (Off Key/Slightly Out of Tune)

アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァ曲のなかでも、最も早くわれわれの耳に入ってきたもので、私が初めてこの曲を聴いたのは、ディズィ・ガレスピの率いるオーケストラのものだった。1960年頃だったろうか、まだボサノヴァのレコードがあまり入ってきていないし、日本盤も出されていない頃だから、これは私にはボサノヴァの最初の曲という印象がある。

[Days of Wine and Roses]Days of Wine and Roses

’62年の同名の映画『Days of Wine and Roses』の主題歌で、ジョニー・マーサーとヘンリー・マンスィーニの手になる曲だ。アカデミー主題歌賞も取り大変有名になったが、ジャズ・ファンにはコード進行が取り組みやすかったからかもっぱらアドリブ素材として好まれ、とくに日本では歌詞はほぼ忘れられて演奏素材としてお馴染みの曲になった。

[Crazy She Calls Me]Crazy She Calls Me

これはカール・スィグマンとボブ・ラッセルが’49年に書いた曲で、同年にビリー・ホリデイがデッカ Decca に吹き込んでいるので、多分彼女が最初にこれを取上げた歌手なのだろう。デッカの二枚組《The Billie Holiday Story》に入っている。だからなんといってもビリー・ホリデイの曲として、私には強い印象があるが、ナット・キング・コールも歌っているし、また’80年代に入ってからはリンダ・ロンシュタットの歌で若い人にも知られるようになった。

[Come Rain or Come Shine]Come Rain or Come Shine

マーサー/アーレンの1946年のミュージカル【St. Louis Woman】に挿入された曲で、スタンダード曲らしい粋な雰囲気をもっている。歌詞もメロディも難しくはないが、コードが幾通りにも考えられる幅の広さのようなものをもっていて、歌っている人も多いが、ビル・エヴァンスのように独自のコードづけをして演奏している例もある。