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[My Romance]My Romance

これはロジャーズ/ハートの’35年の作品で、同年11月の、ミューズィカル【Jumbo】のなかに使用された曲だ。そのなかではドナルド・ノヴィス Donald Novis とグロリア・グラフトン Gloria Grafton によって歌われた。この二人は当時売れっ子のビグバンド歌手で、歌えない映画スターの声もよく吹き替えていた。

[Good Morning Heartache]Good Morning Heartache

これはアイリーン・ヒギンボサム作曲、アーヴィン・ドレイク作詞で、2人が’45年につくった曲だ。ダン・フィッシャーはプロデューサー、出版者で、権利に入りこんだだけで作詞曲には関係ないようだ。ビリー・ホリデイが最初にレコーディングし、また自分の持ち歌として得意にしていた。映画『ビリー・ホリデイ物語』が作られた’70年代半ばには、また多くのレコードが出されている。

[All or Nothing at All]All or Nothing at All

ローレンスとアルトマンの二人による曲で、映画やミュージカルとは関係なくつくられている。’40年にコロンビアから出たスィナトラ/ハリー・ジェイムズ Harry James 盤のレコードが最初だった。ただしこれはたいして売れず、’43 年にシナトラが彗星の如く出てきて有名になってから改めて売れ、結局ミリオン・セラーとなった。

[You’d Be So Nice to Come Home To]You’d Be So Nice to Come Home To

コウル・ポーターが’43年のミュージカル映画『Something to Shout About』に書いた曲で、ジャネット・ブレア Janet Blair とドン・アミーチェ Don Ameche が歌った。ブレア(’21-2007)はペンスィルヴァニアの田舎の教会のコーラスで歌っていたが、ハル・ケンプ楽団のオーディションを受けて通り、専属歌手を二年間勤めた。それからLAの Cocoanut Grove で歌っているところをコロンビアのスカウトに見出され、その直後にケンプが自動車事故で亡くなってしまったこともあって映画界入りして、これが第一作となった。

[Begin the Beguine]Begin the Beguine

コウル・ポーターが’35年のミュージカル【Jubilee】のために書いたもので、そこではジューン・ナイト June Knight が歌った。[Night and Day]などとともに彼のラテンリズム曲の代表作の一つだが、なんと108小節もある。ポップソングのなかでは108小節というのは最長かもしれない。脚本のモス・ハート Moss Hart が聴いていて、もう終わったかと思ったらまだ半分くらいのところですごく驚いたという。

[All Too Soon]All Too Soon

エリントンが’40年に作った曲で、特別ヒットしたわけではない。例によって最初はインストゥルメンタルとして書かれ、トロンボウンのローレンス・ブラウン Lawrence Brown とテナーサクスのベン・ウェブスター Ben Webster のソロを念頭に置いてエリントンはこれを書いた。しかしあまり時をおかずカール・スィグマンが歌詞をつけて、ミルドレド・ベイリー Mildred Bailey とサラ・ヴォーン Sarah Vaughan 歌のものが出ている。

[You Turned the Tables on Me]You Turned the Tables on Me

1936年の映画『Sing, Baby, Sing』にスィドニー・D・ミチェルとルイス・オールターの二人が書いた曲だ。その映画に主演したアリス・フェイ Alice Faye が歌ったレコードがかなりのヒットになり、南アフリカ出身の音楽評論家で’66年からイギリスの Sunday Express 紙の記者、コラムニストを30年間もやっていたクライヴ・ハーシュホーン Clive Hirschhorn (1940–)は〝彼女のベスト作品の一つ〞と評している。

[You’re My Thrill]You’re My Thrill

スィドニィ・クレアとジェイ・ゴーニィが1933年の映画『Jimmy and Sally』のために作った曲で、あまり華麗なメロディには聞こえないものの、渋い味わいの動きを見せるメロディだ。マイナーだがあまり暗い雰囲気はない。この映画はコメディだが、「この曲が一番大きなハイライトだ」などと解説してあり、ほかにあまり特筆すべき所はなかったようだ。