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[’Round Midnight]’Round Midnight

これは大変有名になったジャズの名曲で、あえてスタンダードなどと言う必要がないような、そんな曲である。ただ20世紀末にディクスター・ゴードン主演の映画『ラウンド・ミッドナイト』の主題歌としてまた少し人気が上がったのはいいとしても、若い人たちが「あの曲は古い曲なんだそうですね?」などと言うのには、私などびっくりさせられる。まあ時の流れとはそういうものだから、仕方のないことではある。

[You’re the Top]You’re the Top

これはコウル・ポーターの作品で、1934年のミュージカル【Anything Goes】に入れられた曲だ。そのなかではエセル・マーマンとウィリアム・ギャクストンがこれを歌った。このミュージカルの映画化『Anything Goes』では、’36年版(Paramount)で同じマーマンとビング・クロズビィがこの曲を歌い、’56年版(同)でクロズビィ、ミッツィ・ゲイナー、ドナルド・オコナーらが歌った。がいずれも歌詞はかなり変えられていた。

[You’re My Thrill]You’re My Thrill

スィドニィ・クレアとジェイ・ゴーニィが1933年の映画『Jimmy and Sally』のために作った曲で、あまり華麗なメロディには聞こえないものの、渋い味わいの動きを見せるメロディだ。マイナーだがあまり暗い雰囲気はない。この映画はコメディだが、「この曲が一番大きなハイライトだ」などと解説してあり、ほかにあまり特筆すべき所はなかったようだ。

[You’d Be So Nice to Come Home To]You’d Be So Nice to Come Home To

コウル・ポーターが’43年のミュージカル映画『Something to Shout About』に書いた曲で、ジャネット・ブレア Janet Blair とドン・アミーチェ Don Ameche が歌った。ブレア(’21-2007)はペンスィルヴァニアの田舎の教会のコーラスで歌っていたが、ハル・ケンプ楽団のオーディションを受けて通り、専属歌手を二年間勤めた。それからLAの Cocoanut Grove で歌っているところをコロンビアのスカウトに見出され、その直後にケンプが自動車事故で亡くなってしまったこともあって映画界入りして、これが第一作となった。

[You Turned the Tables on Me]You Turned the Tables on Me

1936年の映画『Sing, Baby, Sing』にスィドニー・D・ミチェルとルイス・オールターの二人が書いた曲だ。その映画に主演したアリス・フェイ Alice Faye が歌ったレコードがかなりのヒットになり、南アフリカ出身の音楽評論家で’66年からイギリスの Sunday Express 紙の記者、コラムニストを30年間もやっていたクライヴ・ハーシュホーン Clive Hirschhorn (1940–)は〝彼女のベスト作品の一つ〞と評している。

[You Made Me Love You (I Didn’t Want to Do It)]You Made Me Love You (I Didn’t Want to Do It)

これはジェイムズ・V・モナコがニューヨークでダンス・バンドを率いていたときにつくった曲で、1913年の作品である。作詞はジョウゼフ・マッカースィで、ブロードウェイ・レヴュー【Honeymoon Express】に使われた。それからずっと後の1973年のミュージカル【Irene】のリヴァイヴァルにも使われている。最初はアル・ジョルソンが歌ってヒットにしたが、片膝をついて両手を聴衆のほうに伸ばして訴えるように歌い、彼の看板になったスタイルをつくりあげた曲でもあった。しかし息の長い曲でそれから何度も多くの人が歌ってリヴァイヴァルさせている。

[You Are Too Beautiful]You Are Too Beautiful

これはロジャーズ・アンド・ハートの1932年の曲で、’33年の映画『Hallelujah, I’m a Bum』(United Artists)に主題歌として使われた。そのなかではアル・ジョルソン Al Jolson がこれを歌っている。これはそれほど大きいヒットにはならなかったようで、のちに’53年8月にボブ・エヴァリィ Bob Ebberly が歌ったものがわずかに30位にチャート入りしただけだった。

[You and the Night and the Music]You and the Night and the Music

ヴァースの部分は大変訳しにくい。Song is in the air などという文章は意味は易しいがぴったりとした日本文はなかなか見つからない。そのあとの telling us romance is ours to share も同様だ。コーラスに入ってもやはり訳しにくいことに変わりない。こうなると、意味を解するということと、訳文を作るということは、まったくべつのことになってしまうので、また厄介だ。

[Yesterday]Yesterday

ビートルズの結成後、初期の大きなヒットの一つとなった曲だ。’65年6月に録音され、9月に発売されたが、その後これはジャズ歌手にも多く歌われ、ビートルズ・ファン以外の一般の人にもかなりよく知られるようになった。ポール・マッカートニーの作らしいが、それまですべてクレディットは二人の共作になっていたので、これもそうなった。