[When the Saints Go Marchin’ In]When the Saints Go Marchin’ In トラディショナルの曲で、作り手は判っていない。ニューオルリンズで古くから葬送曲として演奏されていたもので、墓地へ行った帰りに行列とともにバンドが演奏した。
[Swing Low, Sweet Chariot]Swing Low, Sweet Chariot トラディショナルのスピリチュアル曲で、最初に楽譜にされたのは1872年のようである。これは確実なことが判らなかった。奴隷解放令が出され南北戦争が終結して一息ついた1870年代に、アメリカ史で初めてのスピリチュアル・ブームが起き、そのときジュビリー・スィンガーズが歌ったのが形としては最初だったようだ。
[St. James Infirmary]St. James Infirmary 元はトラディショナルとして伝えられていた曲だが、’29年にジョウ・プリムロウズが作詞し、曲として著作権登録したものだ。’30年にキャブ・キャロウェイが歌ってヒットし、彼の初めてのヒット曲となった。
[Sometimes I Feel Like a Motherless Child]Sometimes I Feel Like a Motherless Child これはいわゆる黒人霊歌、スピリチュアルで、作者もつくられた正確な時日も判っていない。黒人霊歌は十八、九世紀あたりに黒人奴隷のなかに自然発生的に生れてきた音楽で、そのほとんどが個人の作詞曲家によるものでないという点がきわだっている。
[Nobody Knows the Trouble I’ve Seen]Nobody Knows the Trouble I’ve Seen これは1865年ごろにはできていたと考えられるトラディショナルの曲である。最初の楽譜はフィスク大学のジュビリー・スィンガーズがそのレパートリィをまとめた曲集に収録されたもので、1880年に出版された。
[Lonesome Road]Lonesome Road アメリカ黒人のあいだに伝わっていた古いスピリチュアル(霊歌)で、トラディショナル曲である。1865年にスピリチュアル曲集が初めて出版され楽譜化されたので、書物によってはその年代が書かれている。
[Little Brown Jug]Little Brown Jug この曲はアメリカの俗謡、伝承歌謡といったところだが、1869年にジョウゼフ・E・ウィナー Joseph E. Winner という人がR・A・イーストバーン R. A. Eastburn なる偽名で作詞作曲した、と《歌曲大辞典》やイーウェンの《American Popular Songs》には書かれている。
[Greensleeves]Greensleeves これは英国の民謡で現代まで歌いつがれてきたポップ・ソングである。そのもとは16世紀末の英国で流行した作者不詳の大衆歌謡で、正確にはその百年前あたりから英国北部で歌われたり演奏されてきたものだ。
[Frankie and Johnny]Frankie and Johnny これは作者が判っていない曲で、多分1870-75年ごろに成立したとされている俗謡である。《歌曲大辞典》には「トーマス・ビーア Thomas Beer がこの歌は1850年代の実際の出来事に由来するものだと指摘し、ヴィクスバーグ Vicksburg の包囲のときに歌われたものだと主張している」とある。
[Down by the Riverside]Down by the Riverside この曲はトラディショナルで、もとは黒人霊歌(スピリチュアル)からできあがったものだ。《歌曲大辞典》には1865年という成立年が与えられていて、Ain’t gwine study war no more という副題がふされている。