[Linger Awhile]Linger Awhile ハリー・オウエンズ、ヴィンセント・ロウズの二人による曲で、ミュージカルや映画とは関係なく1923年につくられている。ポール・ホワイトマン楽団の得意ナンバーになり、そのレコードは’24年2月にチャートの1位にのぼり、4週維持して二百万枚以上売れた。
[Twisted]Twisted この曲はテナーサックス奏者のウォーデル・グレイがつくったインストゥルメンタルのブルースである。1949年に彼がアル・ヘイグ Al Haig、トミー・ポッター Tommy Potter、ロイ・ヘインズ Roy Haynes らとともにレコーディングしたのが最初の録音で、それからのちにアニィ・ロスがメロディだけでなくグレイのアドリブにまで歌詞をつけて歌い、いわばヴォウカリーズ vocalise 曲として完成させた。
[Then I’ll Be Tired of You]Then I’ll Be Tired of You E・Y・ハーバーグ作詞、アーサー・シュウォーツ作曲の1934年の曲である。この曲はミュージカル、映画に関係なくつくられたようだ。ミュージカル用につくられ没になったとも考えられるが、いずれにしろ資料がほとんど見つからなかった。’34年9月の初めにフレディ・マーティン楽団のレコードがチャートの12位に入り、末にファッツ・ワーラーのレコードが9位に入ってヒットした。
[Glow Worm, The]The Glow Worm この曲は1902年にドイツのオペレッタ【Lysistrata】にパウル・リンケが書いた曲で、いまや古典と言うべき作品である。そしてヨーロッパではすでにヒットしてお馴染みになっていたものにリラ・ケイリィ・ロビンソンが英詩をつけて’07年のブロードウェイ・ミュージカル【The Girl Behind the Counter】に使われた。
[Best Is Yet to Come, The]The Best Is Yet to Come サイ・コウルマンが書き、キャロリン・リーが歌詞をつけた1958年の曲で、ミュージカル、映画とは関係ない。歌手のトニー・ベネットやメイベル・マーサーが歌ってヒットさせた。同じリー/コウルマンの[Witchcraft]にも通じる粋な作風の曲である。
[Straighten Up and Fly Right]Straighten Up and Fly Right ナット・キング・コールがまだ無名時代に書いたもので、彼の出世の発端となった曲だ。彼のこの曲のレコードは1943年11月に出ているが、それまですでに演奏していたというからもう少し前に書かれたものだろう。
[Maybe You’ll Be There]Maybe You’ll Be There この曲はミュージカル、映画とは関係なく、サミー・ギャロップ作詞、ルーブ・ブルーム作曲で1947年につくられている。同年早くにゴードン・ジェンキンズのオーケストラがチャールズ・ラヴェア Charles Lavere の歌で録音してデッカから出したが、すぐには売れなかった。どういうわけか翌年になって売れはじめ、’48年6月に3位までのぼり合計30週チャートに在位して、中くらいのヒットになった。
[Midnight Sun]Midnight Sun ライオネル・ハンプトンの最大傑作と言うべき曲で、1947年の作品だ。クレディット上ではソニー・バークとの共作になっているがその理由は判らない。歌詞は’54年にジョニー・マーサーがつけたものだ。もちろんもとはインストゥルメンタルとして作られ、ハンプトン楽団のデッカのレコードが最初だった。
[New York State of Mind]New York State of Mind ビリー・ジョエルが1975年につくり、’76年5月に発表したアルバム《Turnstiles》に入れられた曲である(Turnstiles は地下鉄などの回転式改札)。彼は’71年に最初のアルバム《Cold Spring》を出した(’72年という記述もあった)が、まだ彼の曲はあまりヒットせず、そのあと’73年に生活苦で仕方なく西海岸に行った。
[Old Folks]Old Folks ウィラード・ロビソンの1938年の曲で、ミュージカル、映画とは関係ない。スティーヴン・フォスターの[Old Folks at Home](邦題は[スワニー川])は有名だが、もちろんこれは別の曲でそれに較べればはるかに地味なものの、歌よりもジャズ・ミュージシャンに多く採りあげられて案外人気のある曲である。