[For You]For You アル・デュビン、ジョウ・バークの手になる1930年の曲で、翌’31年に映画『Holy Terror』に挿入された。映画の方はそれっきり忘れられ、この曲だけが残ったと言えそうだ。非常に単純でわかりやすい曲だが、その単純さで売れたのかもしれない。
[East of the Sun]East of the Sun この曲はブルックス・バウマンが’34年のプリンストン大学の Triangle Club のショウ【Stags at Bay】に書いた3曲のうちの1曲だ。ノルウェイの民話に、王子様とその母君が「太陽の東と月の西に住む」と歌われ、彼はそこからヒントを得てこの題名をとった。スコットランドの詩人アンドルー・ラング Andrew Lang の編纂した童話集で1889に出版されたという。
[Days of Wine and Roses]Days of Wine and Roses ’62年の同名の映画『Days of Wine and Roses』の主題歌で、ジョニー・マーサーとヘンリー・マンスィーニの手になる曲だ。アカデミー主題歌賞も取り大変有名になったが、ジャズ・ファンにはコード進行が取り組みやすかったからかもっぱらアドリブ素材として好まれ、とくに日本では歌詞はほぼ忘れられて演奏素材としてお馴染みの曲になった。
[Come Sunday]Come Sunday デューク・エリントンが1942年ごろに作った曲で、彼の楽団が最初のカーネギーホール・コンサートをやった’43年1月23日に[黒と茶とベージュ Black, Brown and Beige]として発表され、すぐ5日後の28日にボストンのスィンフォニー・ホールでも再演された。
[Come Rain or Come Shine]Come Rain or Come Shine マーサー/アーレンの1946年のミュージカル【St. Louis Woman】に挿入された曲で、スタンダード曲らしい粋な雰囲気をもっている。歌詞もメロディも難しくはないが、コードが幾通りにも考えられる幅の広さのようなものをもっていて、歌っている人も多いが、ビル・エヴァンスのように独自のコードづけをして演奏している例もある。
[Bye Bye Blackbird]Bye Bye Blackbird この曲は映画やミュージカルとは関係なく作られたが、ゆっくり静かにヒット曲としての道を歩んできたと言えそうだ。その原因はもしかしたらこの歌の単純でいてなにか深い意味が隠されているような、つまりその真意が捉えにくいような意味にあるのかもしれない。ヴァースのなかのブラック・バードとブルー・バードとの対比からは、前者は悪いものを後者は善いものを象徴しているらしいと判る。
[Angel Eyes]Angel Eyes 作編曲と弾き語りで鳴らしたマット・デニスの’46年の曲で、アール・ブレントが作詞している。デニスの話によると、最初に録音したのはデューク・エリントン楽団でハーブ・ジェフリーズ Herb Jeffries の歌だそうだが、レコード会社が潰れてしまい、それ以上売れなかった。つづいてナット・キング・コウルも録音したが、それもそうは売れず、エラ・フィッツジェラルドがノーマン・グランツ盤も含めて累計5回かそれ以上も録音し、ショウの中に毎回入れたのでヒットしていったという。
[All the Things You Are]All the Things You Are ジャズのスタンダードとしてはトップの方に位置する、大変有名な曲だ。ただ、たいていは演奏でそれもごく速いテンポで奏されるものとして、知られてきたと思う。歌としてはその内容からもゆっくりとしたバラードでしか歌いようのない曲である。
[Ain’t She Sweet]Ain’t She Sweet 1927年にジャック・イェレンとミルトン・エイガーの作った曲で、ポール・アッシュ Paul Ash の楽団がシカゴのオリエンタル劇場で演奏したのが最初だった。この曲はエイガーが娘のシャナ Shana に向けて書いのだという。彼女はなんとのちにシャナ・アレグザンダー Shana Alexander という政治評論家になったのだそうだ。
[Desafinado]Desafinado (Off Key/Slightly Out of Tune) アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァ曲のなかでも、最も早くわれわれの耳に入ってきたもので、私が初めてこの曲を聴いたのは、ディズィ・ガレスピの率いるオーケストラのものだった。1960年頃だったろうか、まだボサノヴァのレコードがあまり入ってきていないし、日本盤も出されていない頃だから、これは私にはボサノヴァの最初の曲という印象がある。