【研究】音楽家の実像 ’60年代は人種闘争が荒れ狂った時代で、マックス・ロウチとアビィ・リンカーンの人種闘争をそのままジャズに持ち込んだようなレコードもあったが、日本のジャズ評論家はそういうものを「ジャズに政治を持ち込んではいかん」とかなんとか言って酷評していたものだった。
【研究】言葉の中立性 日本語には男性言葉、女性言葉、敬語、丁寧語、謙譲語など、性質の異なる言葉がたくさんあるので、本当にぴったりとした訳語を探すのがなかなか難しい。単語自体が中立ではなく価値判断をすでに担っているという点が、とても厄介で扱いにくい。
【研究】歌のなかのユーモア こういったユーモアは英語の歌の最もいい点かもしれない([Pennies from Heaven]の[補遺]参照)。日本の歌の場合、演歌や歌謡曲だけでなく、フォークやアイドル・ソングなどにもほとんどユーモアはなく、そういう状態は最近になって強まってきているように見える。
【研究】時間へのこだわり([The Days of Wine and Roses]についての考察) この〝The days of wine and roses 酒と薔薇の日々〞という言葉は、英国の詩人アーネスト・ダウソン Earnest Dowson (1867-1900)の詩の一節からの引用だが、その一節を参考までに記してみよう。
【研究】ユダヤ人音楽家 ジャズ、ポップスを問わず、映画やミュージカルを問わず、作詞、作曲家にはすこぶるユダヤ人が多い。ユダヤ人がヨーロッパやロシアからアメリカヘと亡命する、または移住するというのは、19世紀後半からずっと続いてはいたが、このゴーニィが来た1906年頃はとりわけ移住者が多かったようだ。
【研究】ボサノヴァについて ボサノヴァの定義は非常に難しい。ボサノヴァはブラジルの音楽家たちがアメリカの巨大市場を目的に、サンバをアメリカ人にも判るように易しく単純にしたものだとか、反対にアメリカ人が自分たち向けにサンバをまるでインスタント食品のように気の抜けたものに作り上げたのがボサノヴァだとか、従ってボサノヴァとはブラジルにはなくアメリカの音楽、アメリカのブラジル風音楽だ、という極端な説もある。
【研究】コックニー Cockney 映画『My Fair Lady』ではオードリー・ヘプバーン扮するイライザがロンドンの下町訛りコックニー Cockney を盛んに喋べる。「a がちゃんと発音できるようになるまでは、今日は昼飯も晩飯もチョコレイトも抜きだ」とヒギンズに徹底的にしぼられて、頭にきたイライザは次のように言う。
【研究】キャンザス・スィティ Kansas City(KCという街 改題) アメリカは、1776年の独立以来、東部から西部へと開拓され発展していった。その開拓発展は、厳密には17世紀初めの黒人奴隷輸入あたりから始まっているが、このキャンザス・スィティが発展し始めるのは、19世紀になって鉄道が引けてからである。
【研究】キャピトルの産みの親 キャピトル・レコードは作詞家のジョニー・マーサーがポール・ウェストンほかの音楽家仲間と協力して作った会社だが、当初は利益など無視していい音楽作りにはげんでいたため、会社としては小さいままだった。そもそも作曲家や作詞家が社長や重役に収まったからだが、いろいろな意味でいいレコードを作るように徹底した方策をとった。
【研究】Okies オウキィズについて 私はラッセルのことを詳しく知っているとは言えないが、レコードの解説などによると、彼は’41年オクラホマ州ロートン Lawton に生まれ、タルサ Tulsa で育ったと書かれている。オクラホマ州は’33年に大旱魃に襲われている。