──1989年に私(マイルズ・デイヴィス Miles Davis)はもう一つ楽しい経験をしたが、それはテレビの《マイアミ・ヴァイス》にポン引きとヤクの売人として出演したことだ。その役をやったとき、それを演じてどう感じたかと誰かに尋ねられたが、私は「黒人なら年がら年中演技しているのさ」と答えたよ。本当さ。この国じゃ、黒人なら単に生きていくために毎日あれこれ演技してなくちゃならないんだ。もし白人が多くの黒人が心中では本当はなにを考えているかを知ったら、死ぬほど恐くなるだろうね。黒人は思っていることを全部言う力はないから、だからみんな仮面を被ってとにかく一日をやり過ごすためだけにさ、毎日名演技をやっているわけだ。